非二元のエッセンス

続・身体は実は「ない」ことに気づく瞑想 スケッチ

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前回の、「身体は実はないことに気づく瞑想 スケッチ」の続きです
その手順を繰り返して、
身体の輪郭、重さや個体の感覚が消え、
脈打つバイブレーションとして感じられるところまで行ってからはじめます。

この状態で、周りの空間を感じてみてください。

上下左右のない空っぽの空間が広がっていて、あなたはそこに、
宙に浮いて、かすかに脈打っています。

この脈打つリズムに、ゆっくりとした呼吸を、重ねてください。
と同時に「呼吸」という言葉にまつわる既成概念、
たとえば、肺に空気を吸い込み、吐き出すなど・・・を、捨ててください。

ただ、この何もない空間を大きく吸い込んだり、吐き出したりしながら、
膨らんだり、縮みながら、脈打つものがあるばかりです。

それが、あなたの中ではなく、
あなたの前方の空間で、なされていると想像してください。
あなたの前方の空間が、膨らみ、縮みながら、あなたの代わりに静かに呼吸をしてくれています。

その膨らみ、縮みながら、呼吸するあなたの前方の空間に、
あなたが愛してやまない存在がいる様子を想像してください。
それは、イエスや菩薩や天使のように、あなたが信仰の対象にしているものでも構いません。
そして、その人が、そこで、自分の代わりに呼吸し、息づいてる
私はその存在と同じ鼓動、同じ波に一緒に揺れながら、
そこから生命をいただき、生かされてる。

あなたの前方の空間が、次第に暖かく、輝き、生命でみなぎりはじめます。

それを確認したら、
今度は、あなたの後ろで、同じことがなされているのを想像してください。
あなたの愛する存在が、あなたの後ろで、呼吸していて、
あなたは、膨らんでは縮むその同じ鼓動、同じ波に揺られながら、
その生命を吸い、生かされている。

後ろの空間は、肉眼では見えないので、未知のものへのおそれが投影さえやすい場所です。
このおそれを、愛する人のイメージから放たれる愛の力で、どうぞ、溶かしてください。

たとえば、あなたが愛していて、会いたいとずっと焦がれていた人が、
あなたの後ろにあるドアを開けて、今、同じ部屋の中へ入ってきた。
すると、あなたは別に振り向かなくても、
その人の気配を背後に感じるだけで、
空間全体にやさしい愛のエネルギーがみなぎるのに気づきます。
ちょうど、そんな感じです。

その人がしてくれているこの呼吸の中で、
あなたの後ろの空間も、愛や光、暖かさに満たされてきたと思ったら、
今度はあなたの右側の空間で、同じことがなされてる様子を想像してください。

右側の空間も十分変容したと思ったら、今度は左側の空間。
左側の空間も、同じように、愛や光、暖かさに満たされたら、

今度は、上方に、その人がいる様子を思い浮かべ、同じことをやってください。

そして最後にあなたの下方でも、同じことをやってください。

愛する人の姿として、神仏をイメージしていた人などは、とくに、
ここでちょっとショックを感じるかもしれません。
「自分の尻の下に、その姿を思い描くなんて!」とびっくりするかもしれません。

でも、それは全て、過去に習得した信念、固定概念、思いこみにすぎません。

あなたは今、目をつぶっていて、
身体も、床の存在も消失した
気づきの世界に浮かんでいます。

上下にまつわる信念からくる抵抗が、どうしても強かったら、
一旦そのイメージは置いておいて、
前準備として、こんなふうに考えてみるのもいいかもしれません。

私の「下」にいる存在に、私は生かされてる。土の中のバクテリア、植物、動物たち。
今は亡きご先祖様、親、師、毎日食べたり、使ったりするものを、作ってくれている人たち。
その人たちをそこに思い浮かべながら、ありがとう、ありがとう・・・と心の中で言ってみるのです。

するとだんだん、「下」の空間も、愛と感謝で明るくなり、しまいには、そこに硬い地面があるという「信念」も薄らいで、呼吸とともに脈打ち始めるのを感じられるかもしれません。これまでめぐってきた他の空間と同じです。

そうなると、あなたの愛する人も、そこに招待できるようになるでしょう。準備ができたと思ったら、その人を招いて、その人に呼吸をリードしてもらいましょう。

それまで暗い地下のように思われて来た空間にも、愛や光、暖かさがみなぎって、
あなたの愛する人の呼吸とともに、脈打ち始め
生き生きと変容して感じられるまで、充分間をとってください。

それができたら、
今度は区画を全て取り去って、
全てを一つにつないでみましょう。
自分が愛からなる大きな球の中に包まれ、浮かんでいるのを想像してください。
そこで呼吸を続けます。

あなたというより、この球の全体が、膨らんだり、縮んだりしながら、呼吸をしていると考えてください。

吸う息とともに、この空間にみなぎる愛と生命が、あなたの中に流れこんできます。

吐く息とともに、脈打つバイブレーションとしてわずかに残る、あなたのこの自己感覚は、
この愛の空間全体に捧げられ、小さな小さな粒子になって、溶け入っていきます。

呼吸を続けるにつれ、あなたは、この空間全体に散り散りに広がり、あとは穏やかに波立つ空っぽの空間があるばかり。

この空間の静けさを十分堪能したら、
今度は、この静けさ全体を感じ、気づいているのは誰だろう?と問うてみてください。

それは、水晶のように透明に、
全てを明晰に見通す存在です。

その瞳の中に、すっと落ちるように、入っていきましょう。
そこに、この世界の全ての甘美さを集めたような甘美さが見つかります。
存分に味わってください。

我にもどったら、
そのままの状態で、外の物音を聞いてみてください
とても身近に、親密に、聞こえませんか? まるで自分自身のように。

気づきそのものになった私の中に、
今、耳にした物音と、先ほどの愛の空間が、完全に一つに溶け合っているのを感じてください。

ここの一体感に浸されたまま、この一体感が、できればますます感じられるように、
ゆっくり、身体を揺らしてみてください。
私=空間=音の一体感を一身に感じながら、それがおもむくままに。それが、ますます強く感じられるように、好きなようにからだを動かしてみてください。どう動かしても構いません。

動きながら、「私が動いているのだろうか? 小鳥が鳴いているんだろうか? 風に木々がゆれているんだろうか?」 その区別が全くつかないところに留まり続けてください。

周りの物音、すべては同じ一つの気づきの海に浸された、さざなみです。
あなたがその海です。

今度は、ゆっくり目を開いて、そこに別のものも、招待してみましょう。
目にするもの全てが、ひとつながりになって、
自分に向かって近づいてくるような遠近感のない親密でやさしい視界が広がります。
すべてが、私と内側でつながって、どこを見ても、なつかしく、どちらを見ても、自分を感じるその様子を、楽しんでください。

私=鳥の鳴き声=風の音=ひとつながりのパノラマ的視界・・・このすべてが、区別つけがたく一つにまじりあってる。

この一体性を感じながら、それを確認するように、
今さらに身体を自由に動かしてみてください。

「私が動いてるんだろうか? 小鳥が鳴いているんだろうか、木がたたずんでるんだろうか? テーブルが静けさをただよわせているんだろうか?」

その区別がまったくつかないところに留まり続けながら。

望めば、この状態で、普段の仕事をこなしながら、一日中過ごすことだってできます!
心にしみる感慨と、驚異と
おとぎ話の香気に満たされた1日のはじまりです。

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