草の根活動の紹介

彫刻を通して街の時の厚みをさぐり、市民を美に向け結集させる

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札幌彫刻美術館 友の会の「街なかの美を守ろう」運動 | 札幌市

札幌には、500点近い野外彫刻が存在するが、風雨にさらされ、汚れ、痛んだまま放置されているものも多いという。これを何とかしようと、彫刻を愛好する市民ボランティアが立ち上がり、スポンジやブラシを片手に彫刻を磨き、保全、保護する活動が始まった。

非常に謙虚な活動にみえるが、これは実に奥が深い。市民ボランティアにとって、彫刻に親しみ、見る目を養ういい機会、都市の美観への意識も高められると、会長の橋本信夫氏は言われる。また、その都度、対象にする彫刻については、徹底的にその背景を探るという周到ぶり。彫刻に描かれた人物の伝記や、この彫刻がつくられ、その場所に置かれ、今、このような形で残っている経緯も調べられる。彫刻を通して、北海道開拓の足跡や進取の気概、ひいては戦中の金属回収例をどのようにくぐってきたかなど、街がくぐった歴史の厚みも見えてくる。

その成果を集大成すべく、札幌の彫刻情報のデーターバンクも作成中だという。草の根から街の美をささえる貴重な運動である。

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