草の根活動の紹介

開拓農民とコミューン 草の根文化の源を貫く

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NPOあおいとり 永田まさゆき | 札幌市

地下鉄円山公園から車で10分の場所で、畑を耕し、山羊や豚、兎や蜜蜂を飼う自給的な生活を展開中。それをもとに農を多面的総合的に学ぶ「講座・農的くらしのレッスン」を主宰している。一方では建築家という立場でもある。

講座に訪れる人は街の人がほとんど。有機農法による野菜畑も、畑とよばず庭と呼んでみたり、作物を育てたり木を彫り鋤やベンチを手作りしてみることが、そのまま都市生活批判の意味合いを帯びているかのよう。都市と田舎との中間のような場所に住みながら、そのインターフェイスを担うような役まわりである。

「農的くらし」を思い立つきっかけの一つには、建築家として住宅を手がけるうちに、現在のそれが単に家族がものを消費するだけの場所、あるいは休むという観点ばかりが強調される要素からなり、また労働といえば子供の勉強部屋しかないとでもいうような構成に、疑問と危機感を持ったからだという。そういう彼のバックグラウンドにあるのは、子供のころ北海道の日高で過ごしたときに見聞きした、開拓農民だったおじいさんの働くことと生活することが不可分にむすびつくライフスタイルの記憶。そして70年代、学生の時から参加した反消費主義的共同体で培った総合的な暮らしの理念。

小さなトンネルを一つくぐれば都会の住宅地が広がる場所で、こつこつ手作りで自分の理想を追いながら、現代の浮遊しがちな生活を地面に近づけ、北海道の草の根文化の本道を貫こうとする。

同じ場所にあるレストラン「やぎや」は、その場所で取れたものがメニューの基本になっていて、奥さんが切り盛りしている。そこは彼らの精神にどことなく共鳴するアーチストやさまざまな職種の自由な人々のたまり場にもなっている。

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