詩 

鬼も内!

  • LINEで送る

今日は節分

福は内、鬼は外って言いながら、みんなで鬼を家から追い出す日。
その様子を見たり聞いたりするたびに、ぼくは鬼のことがかわいそうになる。

ねえ、鬼も家に入れてあげようよ。

あんまり乱暴にふるまうんで、困っちゃうし、
ちょっと怖いけど、

僕の心の泉においでよって招待すれば、大丈夫。
ここではみんな仲良くなるから。

かわいそうな気持ちがしばらく疼いてくるんで、
泉をのぞいてみると、鬼がそこで泣いてる。
ぼくもちょっと悲しくなって、隣に座って一緒に泣いたよ。
空から雨も降ってきた。

思いっきり泣くのって、でも、気持ちいい。

そう思った途端、泉にさっと、まばゆい光が差してきた。
雨もいつの間にかやんでる。

鬼と一緒に見つめあって、からから笑う。
するとその笑い顔がおかあさんに似てきた。
いや、お父さんかな? 先生かな?
それとも、ぼく自身かな?

泉の周りは、とても静かで、
今日も、何にもない。

  • LINEで送る